四章 偶然は集結し、終結に向かい始める。

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   こんなときに、自分は一体なにをやっているのだろうか、と朱咲は思った。あんな小さな子供が、今の自分にできることを必死にやっているというのに、私は……。  朱咲は震える足に力をこめる。  腕にも、腹にも、足にも。  もう一度、立ち上がるために。  力をこめる。  守るんだろうが。  一 年 以 上 前 に 私 が 『 ど っ ち つ か ず の 青 (レッドブルー)』 に そ う し て も ら っ た よ う に 、あの子を守るんだろうが。  あの子だけじゃない。  久ノ宮だって。  あおちゃんだって。  全部守るんだ。  なにが財布の借りを返しに来た、だよ。まだ返せてないじゃないか。『ジョーキング』の情報代にしたってそうだ。三人を守ってくれって言われたじゃないか。  ――だから、もう一度、立ち上がらなきゃ。  朱咲は奥歯を噛みしめ自分を叱咤する。  そして、一瞬でも力を抜けば崩れてしまいそうなほど弱弱しく、けれど強い眼光を目に宿し、立ち上がった。 「おい、『死体築き《デッドメーカー》』。まだ私を倒せてないぜ? 病院送りにするんだろ? 来いよ。まだ終わってねえ」 「…………しつこいな、お前。そこで大人しく寝てればよかったのに。病院送りも変えてやるよ。今日から――」 『死体築き《デッドメーカー》』は振り返ると辟易したようにそう言った。そして、 「病院送りから墓場送りだクソ野郎!!」 『死体築き《デッドメーカー》』は獣を思わせるほどの獰猛な笑みを顔面に貼りつけ、朱咲目がけて駆けだした。 「やめろ『死体築き《デッドメーカー》』ァアア!!」  少年の喉が擦り切れんばかりの叫び声が鼓膜を叩いた。  しかし、『死体築き《デッドメーカー》』は止まらない。  拳が迫る。  一秒がとても長く、まるでスローモーションを見ているかのようだった。  ああ、これはちょっと、ヤバいかもなあ。  朱咲はぼんやりとそう思った。
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