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「答えねえってか、いい度胸じゃねえかよ!」
怖れを振り払うように叫ぶ男は、少女の口から手を離し、じりじりと生きる都市伝説に歩み寄っていく。
もう一人の不良も、その男のあとに続いた。
二人がかりでかかればいくら都市伝説が相手といえども負けることはないだろうと踏んでいるのか、男たち二人の顔はさっきまでに比べいくらか和らいでいた。
自信を取り戻しつつあるらしい。
それでも、『どっちつかずの青色≪レッドブルー≫』はやはり無反応だった。
じーっ、とフードの奥から、不気味な視線を不良二人に送っている。
「なめてんのか、てめえ……!」
男は殴りかかろうと、駆けだした。
腕を振りかぶり、飛びかからんばかりの勢いで『どっちつかずの青色≪レッドブルー≫』に肉薄する。
対して、『どっちつかずの青色≪レッドブルー≫』の取った行動は至ってシンプルだった。
「な――――!」
いなし、
「ぐびゅがッッ――――!?」
男の顔面に右の拳を叩きこむ。
容赦のない一撃。
ただそれだけ。
その一連の動きに特殊な、特別ななにかは感じられない。
一つ一つの動きを確実に、そして素早く行っただけだ。
しかし、それは喧嘩の最も基本的なものであり、それと同時に一番有効的なものだった。
殴られた不良の鼻から、血が噴きだす。そのまま男は地面に沈んでいった。
男を殴りつけた際にフードが捲れたが、バンダナのせいもあって、少女にはこの距離からははっきりと『どっちつかずの青色≪レッドブルー≫』の顔は見えなかった。
彼――もしくは彼女は、すぐさま二人目の男の攻撃に備え、態勢を立て直す。
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