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「まあ、確かに兄ちゃんに近づく女はすべて皆殺し、みたいな考えの人だからね、虹葉お姉ちゃんは」
「今日、喫茶店で会ったの。そしたら怒ってて」
芹乃は苦笑する。
「あの人はバカだから気にしなくていいよ。それに姫は兄ちゃんっていう最強の後ろ盾があるじゃん。虹葉お姉ちゃんは兄ちゃんにはなんだかんだで勝てないからね。溺愛しすぎて。……って言っても、普段はそうでもないけれど」
「芹乃は?」
姫傘は伏せていた顔を上げた。芹乃は面食らったように目をぱちくりさせている。
「へ? 私?」
「芹乃もあおちゃん先輩のこと好きなんでしょ?」
姫傘は上目づかいに芹乃の顔を窺う。
「な、なんで私が兄ちゃんを……」
芹乃は逃げるように目を逸らした。
「あやしい」
「そ、そりゃあもちろん嫌いではないけれど」
もごもごと、ごにょごにょとはっきりしない声で言う。
「じゃあ好きなんだ?」
「べ、べつに私は」
「でもあおちゃん先輩は芹乃のことが大好きだって言ってたよ?」
「っ…………!」
「あ、顔赤い。図星なんだ」
「ああもう! さっさと私の部屋に上がって待ってて! 私に用があるんでしょ!?」
「うんっ。じゃあ芹乃の部屋で待ってるね!」
たたたっと階段を駆け上がり、姫傘は芹乃の部屋へと入った。芹乃が上がってくるのを待つ。
「お待たせー、お菓子はこれでいいってちょっとなんで私のタンス漁ってるのよ! 下着をまじまじ見るなあ!」
「いやー、あおちゃん先輩に頼まれちゃって」
「あ、あの変態……っ!」
顔を真っ赤にさせ、肩を震わせる芹乃だった。
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