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「あ、あの、私、かえ――」
「ああ? お前さっき誰の肩にぶつかったのかわかってんの?」
「い、いや、その……」
「『赤色組織』って言葉くらい知ってるだろ? いくらぬるーい生活送ってるっていったって、さすがにこの単語の意味ぐらいはこの町じゃあ知ってて当然だもんな」
「『赤色組織』……!」
期せずして飛び出した男の言葉に、少女は目を見開く。聞き覚え――どころではない。
この町で生きる以上、確実に覚えておかなければならない単語だ。
そして、平穏に暮らしたいと考える人間ならば、決して関わってはいけない組織の名称だ。
少女は今にして気づいたが、確かに不良たちはなにかしらの赤いアイテムを身に着けている。
赤いアイテムを身につけるのは、『赤色組織』の特徴だ。
この町で好き勝手暴れる彼ら彼女らは、まるでカラーギャングのように赤色を身に纏い、ビッグネームを後ろ盾にこの町の覇権を握っている。
「残念だな、嬢ちゃん。嬢ちゃんが『青色組織』だったら、俺たちも手ぇださなかったんだけどなあ」
この町で大きな力を得ている『赤色組織』だが、しかし、この町にはもう一つ、強力な勢力が存在している。
『青色組織』と呼ばれるその集団は、『赤色組織』と同じように、この町で大きな力を持っている。
しかし、『赤色組織』と『青色組織』の間には、大きな違いがあった。
――野蛮であるか、そうでないか。
両組織の違いを述べるならば、それで事足りる。
この状況が示すように、野蛮であるのが燃える赤色で、そうでないのが火消しの青色だ。
畏怖の念を向けられる両組織だが、町の人間が抱く感情には、明確な違いがあった。
もっとも、『青色組織』にしても『赤色組織』と同じようにカラーギャングの真似事をして遊んでいる不良集団なのだが。
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