清冷の朝に

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  「…久保さん、時間……」 二回目のアラームが鳴り始めると、彼は離れがたそうに絡ませた腕に力を入れた。 …ああ、捕らわれる……。 …頭の中で鎖がきつく締まる音が聞こえた気がした。 彼はそのまま私のうなじにキスを落とすと、ゆっくりとその腕を解いた。 「シャワー借りるよ」 「はい」 彼が寝室から出ると、彼の温もりが残る布団を頭から被った。 この関係は、もう二年になる。 奥さんの為にも。 子供の為にも。 彼の為にも。 …自分の為にも。 もう終止符を打たなければならないとわかっているけれど ――私にはあの温かい鎖を断ち切ることは出来ない。 奥さんの怒りの刃なら断ち切ることが出来るんだろうか。 社会的制裁を受けて、周りから罵られれば断ち切ることが出来るんだろうか。 目を瞑って考えてみても答えは出ない。 …このままでは、何も変わらない。  
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