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遠い昔のPrologue
巨大な森の中の荒れた獣道を十ぐらいの黒髪の幼子が駆け抜けて行く。清潔感漂う服は所々が破け、頬には血が滲む…
「ヒュー、ハア、ハア」
森の直径は、大人の足で半日という所だろうか。 こんな所に居るはずがない少年は考えていた……どうしてこうなったのかを……
始まりは些細なことだった。自分の屋敷に仕えていた 親友謙召し使いの少女が休んでいたのだ。
彼と同い年とはいえ、遥かに真面目なその娘が休みだと聞いて彼が何を想ったかは分からない…
だが、少女をからかうくらいの気持ちだったのだろう。彼は迎えに行ったのだ。
少女の住むその村へ……
行きはとても楽だったバスが通ってなかったのは苦しかったが
少年は乗馬ができたのでペットのポニーを飛ばして村へ向かったのだ。
元々、移動用ではないポニーは森の中ほどで動けなくなったのでしっかりと言い聞かせて置いて来てしまった。
森の3分の2まで来ていたので村までの道は案外 楽だった。歩きながら、彼女に家から抜け出てたことをどう自慢しようか考えるほどに……
異変に気付いたのは獣道が人道に変わってきたころだった。村があるはずの場所が赤々とした色に
染まっていた。
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