流浪の君

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違う意味で眠らされた彼はその後5分ほど目覚めなかった。 第参部【EARTH・WORD】 なぜかいつもより深かった眠りから覚めると、目と鼻の先に美少女の顔があった。ハシバミ色の長い髪が風になびき、昼の陽光でエメラルドグリーンの瞳が光る。 だが、俺は何の感慨も感じなかった。今までに何人もの奴らを滅殺商会から逃がして来たからである。 「助けて貰っておいてなんですが、そろそろ状況を教えて下さい」 「分かったよ任せといて」 人助けをするときは今までの態度をガラリと変える、こんな習慣も繰り返すと、馴れてしまうものだ。 「何で奴らが俺達を追ってこないのかっていうとな、必要ないからなんだよ。何しろこの町はグルリと高い壁に囲まれてて出口は一つ しかないからな」 「逃げられないってことですか?ハァーー」 「そういうなってそのために俺がいるんだからさ」 大袈裟なジェスチャーで自分を指し示しながら俺は十八番のキメゼリフを放つ 「………………」 称賛されるはずが何か不機嫌そうな眼差しを貰った。こっちは言ってて恥ずかしいというのに 「もしかして、あの日だったか……」
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