流浪の君

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「ハァ,はぁ、手間取らせやがってこのアマが…」 「むー、むぐー」 下の方から、また声が聞こえてくる。 空の景色を鑑賞を一度止めにした俺は、 声の方に視線を向ける。 山に囲まれているとは言えこのラムダ村はかなり近代的な村だ。 ビルや高い家々が立ち並び、狭い道がまるで迷路の如く張り巡らされている。 そんな村だから警察は存在せず、今行われているようないざこざもよくあることだ。 俺はいつもの様に高見の見物だ。 男は金髪リーゼントにアロハシャツという妙な格好で、女の口を塞いでいる。 何をするのかと思ったら,近くに止めてあるやたら高そうな車に連れて行っていた。 (人さらいか……よくあることだ。) ふぁーと欠伸すると、 窓を閉めかけてやめた。 一つ疑問を感じたからだ。 (なぜ誰も出て来ないんだ。) ここがいくら無法の町とはいえ、やじ馬がいるはずなのだ。 それなのに、道にすら 人がいない…… その疑問は皮肉にも、リーゼント野郎が答えてくれた。 「お前が悪いんだぜー。なにせ、恐れ多くも滅殺商会に金をかえさないで逃げげたんだからな」 ニヤニヤと下品に笑いながら、そんなことを機密情報を口にする……
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