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「おい。テメェっ!聞いてんのかっ!」
それでも彼は眉一つ動かさずにただ一言…
「任意同行か?」
「んなわけねーだろーがよ。こいつは組織から金を借りて逃げ出した罪人なんだよ。分かったらさっさと行けそれともお前も、
捕まりた、ぶぐっ!」
リーゼントが私から手を離し後ろに吹っ飛びました。獣の様な俊敏な動きで近づいた青年が男の眉間に拳を叩き込んだのです。
ガゴン、バリーンという漫画の様な音をたてて、ショウウインドに突っ込んだリーゼントに一瞥をくれると青年は何事もなかった様な顔をして
私に言ってくれました。
「こっちから逃げれるよ来る?」
「は、はいっ!」
聞きたいことは沢山ありましたが、彼は返事を聞くと私の手をとって走りだしたので、私も黙って走ることに集中します。
タッタッタッタッ
誰もいない道を私達は駆け抜けます。
タッタッタッタッ
迷路のような道はいつまでも続くようで、沈黙と緊張に耐え切れなくなった私はわずかに下を向いてしまいました……
どれくらい走ったでしょうか、急に彼の足が止まったのはなんと、広場でした。賑やかな声と音が私を元気付けてくれるような気がして……
少し話してみることにしました。彼と……
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