1人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで助けてくれたんですか?っていうか
あなた何者なんですか?それにここはまだ
危険なんじゃ?」
「まあ、なんつうかー
どれから話せばいいんだ?」
「あっすいません。
礼儀知らずで
私、シェリ・ラインって
いいますっ!
助けていただき
ありがとうございました」
「…………ライン?」
「はい…?私の名前が
どうかしましたか?」
彼は何かを考える様に
顔をしかめて無言のまま広場の奥に進んで行きました。
私を置いて……
春先の澄み切るような
空気の中、彼の天パ気味な黒髪が人込みに消えていきます。
「あっ……………」
完全に見失いました。
私は人の流れに身を任せ適当に進みながらも、
落胆を隠せません。
(変な別れ方でしたが、
これでよかったのかも
しれません。一般人を巻き込む訳にもいきませんし…………………)
仕方ないと分かってはいます、
いますがやっぱり一人は
辛いのです。
気の重みのせいか、
倒れるように近くの
ベンチに腰を下ろします
ハァーーーーーー。
「おい、何ため息ついてんだ幸せなくなるぞ」
「うるさいですよ~。
逃亡生活にそもそも
幸せなんて……って
えっ!!」
消えたはずの彼がいました。近くの店で買ったのか弁当を持っています。
「帰ったと思ったのか?わりーな、考え事してると回りが見えなくなるんだ。」
貰ったお弁当が心とお腹を暖めてくれて……
「うっうっモグモグ」
滅殺商会に追われるようになって三週間。
人と話すことすら
出来なかった私にこんなに軽々と言葉を交わしてくれるなんて、
熱い思いが込み上げて
来て止まりません。
「ふぇ~ん、もぐもぐ
うぇ~ん、えぐっ!
ゴホッ、ゴホゴホッ」
言葉は何もありません
しかし、この人との間に確実ななにかが生まれた気がしたのです。
……横を見るまでは……
Zzzzz
「私の感動を返せーっ」
最初のコメントを投稿しよう!