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でも、ここでこの子達に構って家に帰すなりしないと雇い主に泥を塗る形になってクビになってしまう。
しょうがない…
汚れたワンピースを叩いて出来るだけ身なりを整え、子供の方へ向かう。
だけど、近づくたびに子供たちに違和感を覚える。ツリーを見るわけでもなく、おびえてる訳でもない。ツリーの根元を5、6人で囲んで根元を見ている。
…まさか!!
苛立ちと不安で駆け足になった。この状況はよく見る。そして…私も過去にされたこと、
「お前、これがほしいんだろー?」
身なりからして貧民街の女の子が根元にうずくまっている、その子に金持ちの子供が金の腕輪を見せつける。
それを女の子はじろりと睨んだが、腕輪を持つ子供の取り巻きがケラケラ笑う。
「うわっきったねー。触んなよビンボー人!」
言葉と同時に取り巻きは女の子を蹴る。まるで家畜のように。
もう、見てられない。
私は子供たちの背後に立ち、言った。
優しく笑顔で、
「お坊ちゃま方、あちらでお母様方が心配していらっしゃいますよ。」
路地の向こう側を指差す。
「え?お母様が?しょーがないなー。わかった。下がって良いぞ。」
ボスらしき腕輪の子供が言うと取り巻きもぞろぞろ路地に入っていった。
偉そうに、クソガキが。ま、さっきの話は嘘だから必死こいて親を探す思えば少しは気が晴れるけど。
はぁ、とため息をついて女の子を見ると、目には涙が溜まって今にも号泣しそう。
「強がりね、あなた。昔の私とそっくり。でもね、無理しちゃダメよ?」
慰めるように頭を撫でて、てに少しのお金を渡した。
女の子は一瞬嬉しそうな顔をしたが、私の顔を見て不安そうな顔をする。
私は柔らかく、本当の笑顔で微笑み女の子に背を向けた。
「大丈夫。今日チップもらったの、その端数よ。」
そう言って屋敷の帰路へつき、今日より忙しくなる明日に向けて休息をとった。
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