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「毒属性使い?
お断りだね、とっとと帰りな」
「毒属性……大した使い手じゃねーな。
弱い奴は必要ねーんだ、帰った帰った」
「貴様は必要無い。
毒属性など最弱を極めた属性使い、見るだけで虫酸が走るという物だ」
「……ふう」
これで何度目でしょうねぇ。
門前払いを受けたのは。
「記録日誌、第2048回。
リレイズ・レイズ、放浪2年11ヶ月目。
相変わらず毒属性に対し偏見は強い。
ろくに実力も計らず、毒属性使いと聞いただけで敬遠する能無しのギルドマスターには、ただただ失望するばかりだ」
取り出した手帳の最終ページに、私は使い古した羽ペンをサラリサラリと走らせる。
おや、インクが切れそうですねぇ。
「しかし、私は諦めない。
毒属性は、最強の属性と謳われる"古"を超えるポテンシャルを秘める属性である……これを証明してみせると」
長い間記録して来たものですから、ネタ切れ感が否めませんねぇ……困った物です。
「……記録終了」
さて、新しいペンを買わなければ。
頭の回らない俗物に呆れながら、私は文房具店へと足を運んだ。
「店員さん。
ここにある中で1番良いペンを下さい」
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