第3毒 居合いと解毒と疾風と

2/48
前へ
/300ページ
次へ
マナサーチャーが示す方向へ向かう私達は、ミスト沼野を抜けて再び広大且つ雄大な草原に出てきました。 青臭い草の匂いが混じった風が気持ち……良くなんてありません、私こういう匂い大嫌いなんですよねぇ。 全部魔法で腐らせてやろうか。 ……あ、そんなことしたら余計匂いがキツくなるだけでしたね、これはうっかりして―― 「おい! 無視してんじゃねぇよ!」 「はっ? うるさいなぁ……。 これから1人漫才しようって時に」 「んだよ1人漫才って!? 寂しすぎるだろそんなもん!」 せっかくの1人漫才がベル少年に邪魔立てされました。 「さっきから呼んでたんだよ、ベルベル。 ガチャガチャと喧しい声で」 「喧しい言うな!!」 「事実でしょう、ノイズ人間。 ああ、それとも音割れスピーカーの間違いでしたか……ってどっちも似たようなもんでしたねぇ、あははは」 「貴様等ぁぁぁぁぁぁ……!」 うわ、顔が真っ赤。 まるで茹でたタコの如く、ベル少年の表情に怒りが満ちてきていますよ。 「えー、何を恥ずかしがってるんですか?」 「恥ずかしがってねぇよ!! キレてんだよ、怒ってんだよ!!」 「なんでやねーん!」 「なんでやねんじゃねぇよ!? つーかそのツッコミ合ってな……ってそういう話をしたいんじゃなーい!!」 ホント煩いなぁこの人……
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1765人が本棚に入れています
本棚に追加