皇魔

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とあるギルドのとある日の昼下がり。 「…南方に巨大な魔力…この量は…っ…来たぞ!」 広い、ただ広大で、残酷な程に縹渺たる、平和の香が鼻を擽る野原。 「おい!アレイドさんに報告だ!」 普段は、生存競争など無縁で、隔絶された空間。 「南南東5キロ!上空200メートルに魔力を感知!…奴だ!」 小動物から大型の生物まで、いずれも草食で、穏やかな気質の生物が集う、狂気の世界。 「目標との接触まで、後一時間弱!至急増援を!」 その穏やかに狂った生の空間には、今日は一つとして生物の影が無い。 いるのは、只の人間が二人のみである。 双方共に青いローブを深く被っている為、顔は分からない。 ただ、片方の背の低い男は狼狽し、もう片方の中背の男は怒鳴り散らしていた。
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