魔器

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「分からない事があったら聞けよ。危ねえから」 その一言に、複数の生徒達がオスマ先生の周りに群がる。 俺はその様子を生徒達から少し距離を置いた壁際で眺めていた。 「よう」 魔結晶を片手に魔力の準備をしていた所に、八重歯を覗かせて笑うロンが右手を掲げながら近付いて来る。 「ん、どうした?」 反応を返すと、ロンはニッと顔を綻ばせ、俺の隣に並んだ。 「いや、暇だからさ。ルイスはどんな魔器を精製すんのかとね」 そう言い、視線は俺の右手の魔結晶へ。 両の手は、己の魔器を弄びながら。 「…別に面白い物でもないぞ」 ロンは、この授業が始まる前から、自分の魔器を所持していた。
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