定食の暴走

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定食の暴走

それから一週間後、あれだけ固い決意をしたというのに、今の私は彼女の定食のことしか考えられなくなっていた。 お互いが家庭持ちで相手は友人の妻だ。 そう思い我慢してきたがそろそろもう限界だ。 何の因果か今日の友人は一週間前と同じ『トンカツ定食』だった。 私が愛してやま……いやいや違う、違うんだ。 私は妻の定食を愛しているんだ。 よし、妻の定食を見て落ち着こう…… 「……」 だがまたしても妻は期待を裏切ってくれた。 野菜以外の食材が全く見えない。 DVかと思うほどの緑一色である。 だが一時の色恋で手放してしまっていいのだろうか…… 「トイレ行ってくるわ」 何という神の悪戯だろうか。 友人はトイレに向かったのだ、『トンカツ定食』置いたままで!! 自然と私の手は『トンカツ定食』へとのびる 「ああ…『トンカツ定食』ぅ――」 「ハァ ハァ ハァ……」 罪の意識が体中を駆け巡り背徳感が手に汗をかかせる。 「!!!」 無意識に握った拳で光り輝くモノ 「結婚―――指輪」 フッと魔が下りた。 だが、本当の試練はここからだったのである。魔が下りるのとほぼ同時に私の肩に触れた人がいた。 「今日も喰べてくださらないんですか?」
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