プロローグ

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それはいつからなのか誰も知らない。 ただ判っていることは、人間と魔族は争い続ける種族だということだけである。 今まで何人もの勇者が人間側に現れ、何人もの魔王が魔族側に現れた。 勇者は多くの魔王を打ち倒したが、魔王もまた多くの勇者を倒してきた。 どちらの種族もただ自分達の平和を願い、地上における自分達の絶対的支配力を得たい為である。 どこまでも相容れない二つの種族は本来関わりのない多くの別の種族を巻き込み戦い続けている。 今では何の為に戦っているかも定かではなく、戦場では無意味に命が失われている。 二つの種族はそれに気付いていながら、知らないふりを続けている。 これから語られる物語は、その無意味な戦いに終わりを告げた、 ――――勇者でありながら魔王でもあった―――― 少年の話である。
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