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シュラウスは今、ラボスの前で大人しく座っていた。
・・・何故か学生服を着て。
一方のラボスは、こちらも何故かスーツと眼鏡を着用して、シュラウスに向き合っている。
因みに場所は、周囲に何も無い大草原である。
ラボスが深く息を吸い、こう言った。
「今から、シュラウスのための魔界講座を始める。(主に心の)準備は出来てるな?」
「・・・ああ、始めてくれ」
何故こうなったのか。
それは二人がノグリービン卿の監視魔法圏を抜けた直後まで遡る事になる。
「ラボス、俺は大事な事に気が付いた」
「何だよ」
「魔界の事も魔王の職務も勇者の事も、俺は何も知らない」
「・・・あ」
「魔界の歴史とか何それ美味しいの?な状態だし、魔王の職務は知識ゼロだし、勇者は漠然としたイメージしかない」
「・・・・・・」
「これで旅を進めても大丈夫かどうかが不安だな」
「・・・悪い、シュラウス。殆ど俺のせいだ」
「あ?」
「そういう知識を魔王に教えるのも魔王補佐官の役目なんだが・・・人間に馴染み過ぎて忘れてた」
「よし、歯ァ食いしばれ。それが終わったら、そういう事を教えろ」
「殴られる覚悟は出来てるけど、メリケンサックは止めてくれ!」
「知るかァ!!」
こうして、魔界講座が開かれる事になったのである。
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