プロローグ

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しかしその少年の話をする前にもう少しだけ。 ある村に勇者が帰還した時の話である。 「勇者アルバレムが帰ってきたぞー!!」 「何だって!?」 「魔王を倒したのか!!」 「さすがアルバレムだ!」 人々は帰還した男――――勇者アルバレムに駆け寄る。 彼は魔族による被害を食い止める為に今まで戦い続けてきたのだ。 そして駆け寄った人々はあることに気付く。 「お前・・・その怪我は!?」 「済まない・・・流石魔王、と言うべきか・・・。ただでは勝たしてくれなかった・・・」 彼の身体はボロボロで、未だに出血している部分もある。 生きているのが不思議なくらいだ。 「とにかく治療を・・・」 「いや・・・、もう長くはない・・・。その前に、どうか、この子を・・・」 そう言って彼が腰に付けていたアイテム袋から出したのは、一人の赤ん坊だった。 「「「・・・って、物理的に無理だろ!!」」」 「フッ・・・勇者のアイテム袋は四次元だ」 人々のツッコミすら華麗にスルー出来るのも、やはり勇者だからだろうか。 「将来大物になるかもしれない・・・次の魔王だから。大事に育てろよ」 「ちょおぉぉい!!」 勇者の発言は世界を変える力を持つらしい。 が、ツッコミを呼ぶ力の方が遥かにデカかった。
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