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「最初の勇者ああああは、魔王ヒッティーと親友だった。いや、どちらも勇者や魔王という立場ではなかった」
「なら何だよ?」
「二人とも、小さな村の、ただの農民の息子だった」
「つまり、最初の魔王は人間だったって事か?」
「あぁ。今の魔族の祖先も、皆元を辿れば人間だ」
「人間から魔族が生まれた・・・」
「人間が、魔族になったんだ。人間の心の中に当たり前に存在している欲望や他者に対する羨望などが、魔力と結び付いて暴走した」
「そんな事が有り得るのか?」
「今、魔力は個人差がある上に、才能などにも影響を受けている。でも昔は、魔力とは生命力と結び付いているもので、心のありようで発現するような、非常に扱い易く、危険過ぎる力だった」
「昔は魔法使いが沢山いたって事か・・・。それはそれで恐ろしいな」
「ああ。そして何より恐れられたのは、魔力の暴走した人間が異形と化した事だった。異形と化した者の中には自我を失い、破壊や殺戮を繰り返すモノも現れた。しかし、異形と化さずに魔族化した者もいた」
「今の上級魔族の祖先か?」
「ああ。魔力の暴走に耐えた結果、強大な魔力を得る事になった。いや、異形と化してなくとも、見た目は変わっていたな」
「どういう風にだ?」
「ノグリービンを見ただろう?美形になったんだよ、美形に。他の存在を魅力する力を得たんだ。・・・不老というオマケ付きでな」
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