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「これは、あくまでも俺の推測なんだが、アルバレムは魔王ケントルに近い魔王を育てようとしたんだと思う」
「魔王ケントル?いつ頃の魔王だ?」
「お前の二代前」
「結構近いな!・・・で、その魔王は何をしたんだ?」
「魔王としては珍しく、人間界に出ることがあり、人間に対して平和的な侵略路線を示したヤツだ」
「・・・平和的な侵略路線って何だ?」
「んー・・・例えば、『これから魔族が侵略開始するけど、こっちが出した条件のうち幾つかを呑んでくれれば害は及ぼさないよー』みたいな感じだな」
「それに従うところはあったのか?」
「条件そのものが、呑んでも生活に支障をきたさないものばかりだったらしくて、魔界に近い村々を中心に従った。ま、従わない村には史上稀にみる残虐さで侵攻したけどな」
「飴と鞭か」
「そういうことだ。・・・アルバレムは、次期魔王を人間界で育てることで、根っからの親人間派の魔王を誕生させようとしたんじゃないか?」
「何の為にだ」
「・・・多分、人間と魔族の対立と無意味な争いを終わらせる為じゃないか?アルバレムは、普段は馬鹿でどうしようもない間抜けを装っていたが、実際には物事を熟知し、熟考する人間だった。だから、自分なりの結論を見付けて、お前を城から連れ出したんだろうな」
「ふーん」
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