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やりきれなさを感じつつ、帰路に就くジャンヌ。
亡き母の「いつも笑顔で」という教えを
心の中で唱えてみるが、それでもやはり今日ばかりは、笑顔になれそうもない。
とぼとぼと歩いていると、走ってきた馬車を避けきれず、尻餅をついてしまう。
そんなジャンヌに、眼鏡を掛けた青年が手を差し伸べる。
差し出された手につかまると、タイミング悪く、お腹が鳴ってしまう。
「お腹、空いてるのかな。よ、よかったら、これ」
そう言って青年はパンを差し出し、ジョルジュ・クートンと名乗った。
これから、孤児院の子どもたちにパンを配りに行くところだと言う。
大切なパンを分けてもらったことを
感謝し、帰り道を急ぐ。
家に帰ると、もらったパンをアンリと分け合う夕食。
そして就寝前の祈りを捧げる。
アンリと二人、こうしてなんとか生きてこられたことを神に感謝する一方、これでいいのだろうかと疑問を持つジャンヌ。
18歳になっても、この貧しい暮らしが変わるわけじゃない。
自分はただお金を稼ぐために、生きていくのだろうかと。そして、死んでいくのかと。
そんなことを考えながら眠りにつく。
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