プロローグ

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『キーンコーンカーンコーン』 一日の授業の終わりを告げるチャイム。 教室が何となく嫌いな真哉にとって、このチャイムは一日の終わりを告げるチャイムに等しい。 ――さぁて、帰るか! すっからかんのカバンを肩にかける。 学校指定のカバンは使いにくいので、自前のカバンを持ってくる生徒がほとんどだ。もちろん、真哉のカバンもそうなのだが、うっかり一般的なサイズより小さいものを買ってしまったので、モノはほとんど入らない。 したがって、すっからかんなのだ。 駐輪場から自転車を出すと、だらだらと続く下り坂を下りていく。 ――夏でも、トップスピードでこの坂を下れば………熱風にしかならないか……。 坂を下り切った所の、信号に引っ掛かった。 真っすぐ行けば、市街地そのさきは港。だが、真哉の家はこの信号を右に曲がり、山を越えた新浦地区にある。
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