第2章 出会い

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数日後。 その日は、朝から雨だった。 駅近くに住む真哉は、電車に飛び乗った。 ――ふぅー、ギリギリセーフ。遅刻するところだった。 今朝は陽介は、運賃を貰ってお小遣にしたいのと、真哉より高校に近くに住んでいる、ということもあって、歩いて通学するそうだ。 そんなことができるほど、朝に強い友を羨ましく思いながら、濡れた傘が邪魔にならないように畳んだ。 真哉はお寝坊だから、部活の朝練に行く妹に起こされないことには、遅刻してしまう。その妹は、出掛けに真哉を起こすので、もう、とうの昔に登校したあとだ。 この電車は新浦が始発だから、大して混んではいない。が、座るのは難しそうだ。 そもそも、真哉が降りる浦本までは一駅しかない。 ふと、真哉は妙なもの……というより、妙な人、いや子を見つけた。 妙、というよりは、不釣り合い、だろうか。 妹と同じ、第三中学校の制服を着ているのだが、材質は明かにシルクだ。持っているカバンも、最近はやりのエナメルではなく、シルク地に防水加工がされた、高級感あふるるものなのだ。 少女の顔立ちも、凛としていて、それでいてたおやかな……どこからどうみても、良家のお嬢様である。 新浦地区、少なくとも真哉が知っている範囲には、そんな家はないが。 不釣り合いなのは、傘とその表情である。 他の持ち物が気品あふるるようであるのに対して、傘はコンビニで百円もしないであろう、白い柄に透明なビニールという、超安っぽいビニール傘なのだ。 そして、その表情も、どこか深い憂いを湛えた、いかにも嫌々学校に行っているような……淋しげな表情なのである。 理由はすぐに知れた。 少女は突然ハッとして立ち上がると、隣の車輌へ飛び移った。 真哉が何気なくそっちを見ると、到底中学生とは思えないヨレヨレの格好をした女子二人が現れた。 彼女達が妹と同じ中学校であることを信じたくない真哉だったが、残念ながら彼女達の制服は第三中のものだった。 真哉は、彼女達の目に邪険なモノが宿っていることに、すぐに気がついた。 自慢じゃないが、かつて虐められた経験のある真哉は、そういうことを一発で見抜ける。 ――いじめ、か……
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