プロローグ

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ともかく、笹部駅は小さな駅だ。 一応、自動券売機に自動改札機は揃っているが、改札機の幅は狭いし、おまけに一台しかない。 あるのは、風情だけ というところだろうか。 歩道橋の上に上がって、山下駅方面を見ると、トンネルがあって、その手前に山下駅の留置線への分岐機が見える。恐らく、電車に乗れば、1分とかからないはずだ。 なんの前触れもなく、電車はやってくる。 その様子を歩道橋のたもとから見ていると、なんとも言えない風情がする。 寂れて古ぼけた、小さな駅に止まる、マルーンの電車。 何か、物語が始まりそうな駅だ。 そして、物語が始まる。
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