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とりあえず男には服を着てもらい、悪気もなさそうなので話を聞いてみることにした。
一応、110と表示されたままのスマホを片手に。
「まず、1つずつ聞いていきます。あなたは誰ですか?」
「えっと、単刀直入に言うと…君の未来の彼氏だよ!」
………。
しばらくの沈黙の後、私はスマホのコールボタンに触れる。
「う、嘘じゃないって!証拠もあるよ!!ほら!!」
男はコートのポケットから一枚の写真を取り出して私に差し出した。
「嘘…でしょ…?」
驚いた。その写真にはまだ見たことのない大人な私と、目の前の男が楽しそうに手をつないでいた。
「ほら、これで信じてもらえる?」
そりゃあ、信じるしかない。
合成と言うこともあるが、そんな感じは全然しない。
「わかった、信じる。じゃあ次にここに来た理由を、教えて」
「ここに来た理由?そりゃ、君に会いに来たんだよー!」
「なんで?」
「ま、そんなことはどーでもいいから!」
そういいながら男は私の手を取り、玄関まで引っ張る。
「ほら、出掛けよ!」
急すぎるだろ!!!
「ま、待って!!とりあえずパジャマ着替えさせて」
「んじゃここで待ってるね」
寝起きで、さらにパジャマな私は急いで顔を洗い、オシャレな服を探した。
男から聞きたいことはたくさんあったのに、何故か勢いに負けてしまった。
どこかで、男を信用している自分がいて怖い。
それよりも、なにより
「デ、デートかな…これって…」
なんだか嬉しかった。
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