第1章

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団地に置かれた都電は、子供たちに人気の遊び場だった。 団地の名前は村上団地。千葉県のある都市の、ごく普通の古い郊外団地だ。 団地のA棟に住む祐治と、D棟に住む早苗は幼なじみで、小さな頃からこの都電でよく遊んだ。 祐治の父は、都電の運転士をしていて、公園の都電の整備を任されていた。 子供たちにいつまでも遊んでもらえるように、前灯が灯るように、管理人さんに頼み込んで電線を引いてもらったのも、祐治の父だった。 そして、彼のお陰で都電はいつもきれいに保たれていた。 祐治と早苗の遊びの定番は、幼い頃から都電を使った電車ごっこと決まっていた。
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