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シスター・メイ、本名メルローザ=ウェイン。
のちにルイシュタインに『心から自分を思い、叱る時には叱ってくれた大人は片手の指で足りる』そう語ったうちの一人。
孤児院から学校へ行ける子どもは数少なく、最初は戸惑いながらも学ぶことが嬉しそうだったその表情に少しずつ翳りが見え始めたのを初老の修道女は見逃していなかった。
「シスター……気付いていらしたのですか」
まだ幼さの残る瞳が、驚愕に見開かれる。
「ええ。貴女の表情や仕草から何となく。昔はもっといきいきとしていたもの」
一切の妥協も嘘も無意味と思わせるような真摯さが込められたセピア色の瞳がやわらかく細められた。
ひとすじ、ふたすじ。
透明な雫が幼い頬の上をすべり落ちてゆく。
つかず離れず、見守られていた事実を知った安堵からか少女は久しぶりに無表情の仮面を外した。
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