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ところ変わって超能力犯罪者集団対策室。机の上に転がるきれいに解体された古い型のノック式ボールペンの部品を見ながら、彼の隣にいた女性はため息をつく。
「またこんなことして……隊長。子供のようなことはやめてください」
「……」
その言葉を聞く前に、彼は部品を手にとり、精巧に組み立てていく。
「うわ、もう組み立て方覚えちゃったんですか? そのノック式の古いボールペン、前まで組み立てられなかったのに」
「……二度バラせば覚える。次はもっと難解なのを頼む」
低くため息と共に吐かれた声に、長い黒い髪と黄緑色の瞳を持つ女性はため息をついた。
「隊長に買ってくるペンは分解されるためのものじゃありません」
もっともな返答を無視し、隊長と呼ばれたサングラスをかけている白髪の若い男性は黙ったまま女性を見据え、静かに口を開いた。
「櫻庭 彩花(さくらば あやか)。そんなことを気にしていては立派な超能力犯罪者集団対策室のメンバーとは言えんな」
「隊長、それは新手のボケですか?」
隊長は「さあな」と答えて含んだような笑いを見せる。その表情はサングラスに隠れてとてもわかりにくいものとなっていた。
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