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ばあちゃんが死んだのは今から8年前だ。
俺は着慣れないブレザーを羽織らされて、姉ちゃんは中学のセーラー服を着て、ばあちゃんの葬式に参列した。
母ちゃんに最期のお別れを促されて、棺桶の前に俺と姉ちゃんは正座して並んだ。
棺桶の中を覗くと、青白くやせ細ったばあちゃんに俺は少しだけ恐怖を感じた。
「人ってさ、何のために生きているんだろうね」
ぴくりとも動かないばあちゃんに向かって、ぼそりと呟いた姉ちゃんの顔を仰ぎ見た。
姉ちゃんは涙もなく、ただぼーっと見つめていた。
ばあちゃんはとても長い闘病生活を送っていた。
最後は呼吸器やチューブに繋がって、誰ともしゃべることすらできないまま、生きていた。
だから姉ちゃんはそんなことを言ったんだろう。
俺はあの時、何て答えたんだっけ?
小学1年生だった俺が導き出せるはずもない。
だって、あのときの姉ちゃんと同じ中3になった今だって、俺は何のために生きているのかなんてわかんない。
俺は自分の部屋の窓から望遠鏡の先を突き出して、星を観察する。
初めは、ばあちゃんの星を見つけたかったから親父に頼んで望遠鏡を買ってもらった。
死んだ人はみんな星になると聞いたから、それならその星を見つけたかった。
今はもちろん信じてはいないけれど、でも肉眼では見えない惑星の柄や星雲を見ると、不思議と心が落ち着くんだ。
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