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俺の手を引いてどんどん奥に進んでいく美智子さんは、そのまま会場の控え室の前に来るから…
流石に慌てて手を振りほどいた。
「ごめんなさい、流石にここは…」
「………仕方ないわね。はい、じゃあこれあげるわ。これぐらいならいいでしょう?」
俺が断るのをわかっていたらしく、予め用意してあった券を差し出してきた。
戸惑う俺に… 「終わったら迎えに行くから逃げちゃ駄目よ?盛りのついたメス共の餌にしちゃうから」 …と、ニヤリと笑った。
「意地悪ですね」
「あら、愛のキューピットじゃない」
「……有難うございます」
手に取った券に瞳を伏せて、気づいたら笑っていたらしい。
「いやん!可愛い!」
と、抱きつかれて周りのスタッフ達の注目を浴びてしまった。
頂いた券は、美智子さんなりの配慮なのか…
端の方だったんだけど、それでもよく見える場所で…
改めて、感謝した。
ライブはすぐに始まり、俺の目の前には…
普段と違う、気高くて、冷徹で、それでいて熱い…
"Jupiter"の美羚さんがいる。
周りが総立ちの中、俺は…
久しぶりに逢えた姿に、
気づいたら涙が溢れていた。
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