星降る夜に願いを込めて…

2/24
571人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「……寒」 吐く息が白くて、手袋をした手に吹き掛けた。 12月も終わりに近づくと、学校帰りももう薄暗く… 灰色の空は、 今にも雪が降りそうだった。 美羚さんが全国ツアーに行ってから、一月。 他の仕事もあるから戻ってはくるけども、流石に2人で逢う時間はなかった。 …それでも、 1日に何通と送ってくれるメールや、 何故か美智子さん直々から送らされてくる写メがあるから、寂しくて苦しいという事はなかった。 「今日はどこにいるんだろ…」 美羚さんには美羚さんの世界があるから、 大輔さんが教えてくれると言ってくれたスケジュールは断った。 それに… 休みの日とかあったら、逢いたいって願ってしまうから。 それでも、 同じ蒼空の下。 この蒼空の下には、美羚さんがいるから。 だから、大丈夫。 「あ?柚茉じゃねーか。今帰りか?」 「賢吾さん?何してるのんですか?」 「配達。乗ってけ、丁度お前に用事があったんだよ」 「…?」 仕事に使う軽トラックではなく、賢吾さんのセダンに首を傾げながらも… お言葉に甘える事にした。 ,
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!