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ー春風家ー
「…ただいま」
そう私が呟くと
「きゃ!」
悲鳴にも似た声が聞こえた
「…お姉ちゃん?」
恐らく我が妹、春風苺だろう…(目が見えないので分からない)
「すごい醜い姿だよ…」
なんて妹だ。
いくら私がガリ勉と呼ばれた冴えない女子高生でも醜いなんて言い過ぎだろう…
<苺の心の中>
何ていうか。メガネが割れて傾いてるし、雨に濡れてびしょびしょだし、口がポカーンと開いて…自分の姉ながらブサイクだこと……
「なによ!」
響子が少し強い口調で話すと
「メガネ割れたの?」
「…うん。ぶつかっちゃって踏まれて雨に濡れて視界ゼロ」
そこまで丁寧に説明しなくていいのに…
「とりあえずお風呂湧いたから入りなよ」
「うん」
そういってポタポタと雫を床に垂らしながら風呂場へ向かっていく
「やれやれ…」
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