次男。その名も豪輝。

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この学園祭の為のビデオ撮らせて と言ってきて、僕にこのセリフを言わせたのが次男の 豪輝お兄ちゃんだ。 豪輝お兄ちゃんのことは、お兄ちゃんって呼んでいる お兄ちゃんにそうしろって言われてそうしてるんだけど、理由を聞いたら豪輝って僕に言わせるのが嫌なんだって イメージが壊れるとかなんとか… そうそう、お兄ちゃんには彼女がいるんだよ! すっごい美人で前、家にきた時ビックリしちゃった! でも、あんな美人な彼女さんが家に来たのに何故かお兄ちゃんは、 「お前なんで来たんだよ!くんなって言っただろ!」 って怖かったんだ… そして、その彼女さんは 「だって付き合っても、デートもなんもしてくれないんだもん! デートに誘ってくれるのずーっと待ってたんだよ?」 呆れたようにお兄ちゃんが 「だから、忙しいんだって!」 彼女さんが溜まっていたモノを一気に吐き出すように、まくしたてる 「いっつもそう言う! この前私見たんだよ! 豪輝君が忙しいって言ってた日ね…豪輝君、あなた弟と一緒にいたでしょ! しかも手まで繋いじゃって! 小学生ならまだしも中学生なんでしょ? 豪輝君私より弟の方が好きだって言うの!?」 そう言った彼女さんは、なんだか悲しそうだった。 お兄ちゃんは無言だった。 「ねぇ?なんで無言なのよ! まさか、本当に弟の方が好きだっていうの!?」 「優希だ…」 「はっ?」 「優希って言うちゃんとした可愛らしい名前があるんだ… しっかり呼びやがれ! いや、お前なんかが呼ぶな! 消えろ!同じ空間にいるな!」 彼女さんは、一瞬泣き出しそうになった…でも、堪えた。優希と目を合わせたから。 堪えられたのも、悲しい感情が怒りの感情に呑み込まれたからだろう。 彼女がキッと僕を睨みつけた。 怖かった。逃げたしたくなった。 だけど足が動かなかった。 代わりに、彼女さんが玄関から外へ出て行った。
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