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そんなことが崩れることを知った。
年が明けて数日が立ったある日のこと。旭川駅で友達と待ち合わせ、合流後、買物公園へ向かおうと駅前の広い敷地を歩き、横断歩道に着く。
「たー、寒いな。そう思わんか、博?」
此奴は森田則定(モリタ ノリサダ)。高校で唯一出来た友達と言える存在だ。口語では「ノリ」と呼ばして頂く。
「ノリ、旭川は盆地だぞ。寒さなんか承知だ。お前は此処に何年住んでるんだ?」
「博、んなこと言ったって寒いものは寒いんだよ。あそこのホテルの温度計見てみろよ。昼間なのに十度(マイナスを付けて考え下さい)って数字よ。お前それでも寒くないって言えるのかよ?」
「まぁ、寒いよな」
「だべぇ?素直に言えよ」
俺とノリは楽器店のある商業施設へと向かっていた。愛用のギターの修理が終わり、それを引き取りに行くのだ。
其れと、あそこには貸しスタジオが有って、二人でこれからドンがチャするのだ。
「一寸の距離なのにたまらん!早く行こうぜ、博!」
「分かってる、ノリ」
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