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取り敢えず、ギターを弾こう。アンプもくそも無いけど。先ずは…、そうだな「風」を弾こう。本来は夏とか秋の楽曲だけど。
誰も居ないホーム。風が入って雪を運び、白く積もる。冬風は旅人。寒さ故に嫌われる孤独な一人旅。若しも唯一の旅のお供が居るとなればそれは人々の悲しみだろうか。
弾き終えてみたが…、寒い。指が悴む。身体も凍える。しばれる(北:ひどく寒い事)。次の曲で温まるかな?「記憶の森」。
旭川駅ホームの柱は森の木をイメージしたらしい。空間が広がっていくような錯覚を覚える。時を忘れよう。したら(北:そしたら)全てを忘れられる筈だ。
無理でした。さっきよりも寒い。如何する…。
そうだ、三番線と四番線のプラットホームの間に有るキオスク行って温かい珈琲でも買ってこよう。そうと決まればギターを仕舞い、一度エスカレーターを降りる。
「うー温かい!」
そして三番線四番線行のエスカレータに乗り、キオスクへ。
「温かい珈琲♪」
そう連呼しながら。
「百円です」
金を払う。そして意気揚々と撤収。
エスカレーターを駆け下り、また昇り。だが
「戻って来てはみたが、暇であることには変わりがない」
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