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そして寒い事も変わりない。取り敢えず、買ったキャップ付き缶コーヒーを開けて一口。
身に染みるスッキリとした味、そして温かさに自然と溜息。
「良い」
さてと、もう一曲やりますか。ギターケースを手に取った時だった。ふと階段の方を見ると人の頭が見える、誰かが来る。ギターから手を放してそれをまじまじと見る。
「ふぁ~、寒い」
俺と同じくらいの歳頃の女子が登って来た。暗灰色のPコート、下がベージュのズボン。右腕には学生鞄。E高校の奴だろう。多分講習帰り。学校に真面に行かない俺とは全く持って身分の違う人間だ。
溜息、ギターが弾けない。もう一口珈琲を飲む。何してやり過ごそうか、残り四十分を。
ロングストレート、背中中間の長さの黒髪。清楚系。寒いのか頬は赤く。化粧してる感じも無い。目は大きく黒目率が高い。まるで女子向け玩具の人形の様だった。
でも此奴、何処かで見覚えが…、はて…。
ってこっち向きあがった。俺は急ぎ焦点を外し、首を違う方向へ。
「あの…博君?」
え?俺の名前何で知ってるの?女子の方を再度見る。
「博君、だよね?」
「お、おう」
頷く俺。一体此奴誰だっけ?
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