プロローグ

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「お子さんに、自閉症の傾向が見られます。暫く、経過を見ましょう」 死んだお袋が俺の一歳検診で担当医から言われた言葉だ。 其れから十年、小学四年生の秋。 「お子さんは、『アスペルガー症候群』ですね。発達障害に一種です」 此の医者の言葉にお袋は泣き崩れた。傍らに居た親父がそれを慰めた。 屹度、お袋は障害者を生んでしまった事を後悔したんだろう。そして俺もこの頃から前より増して自暴自棄になった。 それ以前から俺は、テストで百点を取れなければその教科の教科書をビリビリに破き、クラスメートとは男女問わず本当に些細な事で殴ったり、カッターを出して斬り付けたり、出来ない事が有ればヒステリーを起こして多数に迷惑をかけ、無駄な発言で授業妨害をし、学校中からから問題児扱いを受けていた。 そして俺の自暴自棄が追加される。クラスは修羅場と化して崩壊した。 此の事が市の教育委員会に知れ渡り、一時出席停止を行政から出された。 「学校史上初めての大問題児」、俺の事である。 ただ学校も最大限の配慮をしてくれた。小学校の俺の担任は六年間変わらなかった。他にも有るらしいが、俺が知ってるのは此れだけだ。 当然、俺には友達なんか誰一人いなかった。だけど、彼奴だけは俺が何をしても、いつも傍に居た。
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