分身

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分身

ある春の朝の事だ。 歌うような小鳥のさえずり。 そんな新学期の朝の兆しすら毛布に包まった俺は憎悪の対象として転がっていた。 けたたましいアラーム音が愛用のガラパゴス携帯から鳴り響く。 顔の筋肉が歪む感覚に襲われながら衝動的に携帯に手を伸ばしアラームを切った。 毛布は剥がれ見慣れた自室の光景を目の当たりにする。 目の当たりにするはずだった。
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