分身

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自分の名前がどの組にあるか、また新しい名簿ナンバーは何に変わったのかを確認し頭の中で繰り返す。 生憎メモを取らないと覚えれない質なんだが、流石にあの人ごみの中でそんな悠長なことをすることは出来ない。 目的を達成したのならさっさと身を引っ込める。 人ごみは嫌いだ。 身覚えのある同年代であろう男子学生が奇妙な方向に歩を進める。 それに習い着いて行くと二年生のエリアの下駄箱だった。 そういえば一年生の終業式の帰りしに上履きを二年生のエリアの下駄箱に入れて下校したのを思い出した。 確かここだったかなと流し見て、見つけてからは手短に上靴を取り自分の履いている白いスニーカーを空の空間に投げ入れ、そして取り出したそれにつま先を勢い良く突っ込む。 階段を上り三階行きの階段に差し掛かったところ、三階は一年生で二年生は二階に各8クラス全てがあったことを思い出す。 危うく二年生開幕恥じをかく所だった。 新たに自分のホームルームなる教室は2-2。 窓際にある席にさっき確認した名簿ナンバーがあるだろうと踏み、探す。 後ろから3つ前のその席からは桜と見慣れた街と山々が覗ける窓際だった。 下からピンク、灰色、緑、青の色の並びに今日は晴れということに今頃気づく。 なんて新学期らしい新学期だ。
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