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荷物をまとめ帰宅を試みる時だ。
「新しいクラスどうだ」と声がした。
以前同じクラスだった男。
妙に脂ぎった長髪に糸のように細い目と唇。
のっぺりとしたその概観から強い印象を受けるその男は山下という名前だ。
「こっちはよ、なかなか可愛い子多いしノリの良いヤツも多いし当たりだぜ全く」
こっちは腹が減ってるんだから早く帰らせてくれという心境だったが、彼はお構いなしにやや興奮気味に言う。
その姿に苛立ちを覚え「誰も女の子はお前のことを見ないがな」と言ってやりたかったが、面倒なので「そうか」とだけ返す。
その返事に気に食わなかったのか「相変わらず冷めてるな」と皮肉を込めたセリフを山下は吐いた。
自分でも分かっていたし「まあな」とだけ辛うじて聞こえる程度に返事をし席を立つ。
クラスの連中の半数は下校の身支度をしている。
もう半数は様々な服装に着替えていたが、どれも動きやすそうな服装だった。
こんな日にも部活とは精が出る。
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