分身

7/113
前へ
/113ページ
次へ
帰ったら何をしようか。 行き詰まって投げ出したゲームを再開するか、帰りしにいつも立ち読みで済ませる週間漫画雑誌でも買って読んでやるか、部屋の掃除でもするか。 部屋の掃除、具体的に何所をだ。 立ち尽くし宙を睨んで思考している俺に山下は「おい」と少し大きな声で呼びかける。 「あ、どした?」 「お前変だぜ?何かあったのか?」 彼なりの心配なのだろうか。 元々勝手に人の悩み相談の形式を展開しうんうんと頷くのが彼の生態だ。 お人良し。 ふとそんな言葉が頭によぎる。 「あった。奇妙なことが」
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加