story1

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結局、午後一番の授業を遅刻した僕は、放課後も資料運びを手伝うことで勘弁してもらい、その後は何事もなく、その日の授業を終わらせた。 教室で教科書等の道具を鞄に閉まっていると、桜庭さんから声がかかった。 「佐藤先生の手伝いすんだろ?俺も手伝おうか。」 という提案に僕は、悪いから。と断ろうとしたけれど、 俺がしたいだけだから。と、強引に押し切られ、桜庭さんと共に佐藤先生のところへ向かった。 「星が遅刻なんて珍しいよな。明日とか雪が降るんじゃないか?」 なんて笑いながら言う桜庭さんと、適当に談笑しつつ資料を運ぶ。 二人がかりだから昼休みの時よりもずっと早く終わり、寮への帰り際、そういえばと昼休みに会った男子生徒の事について桜庭さんに話題を振ってみた。 「昼休みにすごくかっこいい男子生徒がいたんだけどさ。桜庭さん誰か知ってるかなぁ。金髪の人なんだよ。」 「…ああ、それだよ。」 「え?」 前を歩いていた桜庭さんが立ち止り、振り返りざまに言った、それだよ、という言葉に僕は心当たりがなかった。 思わず聞き返しながら僕も立ち止る。 「いや、だからさ。今朝言ってた転校生。多分そいつの事だよ。」 桜庭さんの言葉に深く納得した。そりゃあ、顔に見覚えがないのも当たり前か。 「な……」 成程、と言おうと桜庭さんの方を見ると、桜庭さんは……酷く顔を顰めていた。まるで、その人物が嫌で仕方がない、というように。 そして、 「星、そいつになんかされなかったか?」 と、意味のわからない疑問を言った。 その質問に首をひねる。
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