玩具の死因

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   俺は横にあるデスクの上を見た。  黄色背景にハートを抱く天使の絵。 「…………」 『Yes』  カチッ 『本登録が完了しました。どうぞ本サイトオンラインゲームをお楽しみ下さい』  ……登録してしまった。  先程まで余裕で恐がっていたサイトに。 「さっきから何やってるの?」  久彩子が画面の上に顔を置いて俺を見た。 「さ……さっき話しただろ? 課題やってんだよ」  動揺を必死で押し殺す。 「ふーん、課題……ねぇ。私には黒い画面が見えたけど……」  ギクリ 「調べ事してたんだよ。ちょっと分からないことがあって……そしたら偶々黒背景だった」 「ふーん?」  我ながら見苦しい言い訳だ。  構わず久彩子は立ち上がり反転し、俺に背を向け玄関へ向かう。 「もう帰るのか?」 「だって課題の邪魔しちゃいけないし」 「送って行くよ」 「大丈夫。駅まですぐだし」  何も言えず、靴を履いている久彩子の背中を見つめる。 「明日また来ていい?」  久彩子が振り向いて笑顔を作る。 「もちろん。また飯作ってくれよな」  
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