7668人が本棚に入れています
本棚に追加
小さな少女は画面に近付くと止まった。
白い肌、黒いおかっぱ、大きな赤い目。
少女は黒いワンピースに赤い靴を履いていた。何だか昭和30年代を連想させる。
白と、黒と、赤。
このバランスは……先程からよく見る色だ。
『私ハ紅暁(クレナイアカツキ)。朔夜ガ一人前ニナルマデ一緒ニ闘ウ』
画面の中の少女は声を発した。
見た目より少し低い声に、俺は少しビクッとした。
それにしてもこんな子と人を……?
ゲームとは言え、何だか物騒だ。物騒過ぎる。
時代背景は恐らく、昭和の戦後辺りだ。
そんな中に居るであろう少女が『人殺し』を楽しむのか……?
『私ノ声ハ聞コエテイルンダロウ? 返事クライシタラドウダ』
何て偉そうな口調なんだ。
暁は無表情のまま、俺を覗き込むようにした。
本当にリアルだ。今のCGって凄いな。
そんなことを思いながら、キーボードに触れる。
『よろしく、暁』
カチッ
エンターキーを押すと、暁は無表情のまま肯いた。
最初のコメントを投稿しよう!