何も知らない羊

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 空を見上げれば、どこまでも青くて吸い込まれそう。  ゆっくりと校舎裏を歩いて、深呼吸をする。  片手には教科書とノートとペンケース。次の授業のために、移動中。 「きもちーねー。」  一緒に歩く友人に声を掛ければ、返ってくるのは同意の声。  そんな何気ない日常に溢れて、鮮やかな緑が生い茂る五月。  これから起こることなど何も知らなかったわたし。
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