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私はたっちゃんの傍にいるよ?
たっちゃんの夢を支えるの。
そう、思っていたのにな。
夕陽が今日ほど寂しいと思った日はなかった。
家までの帰り道がこんなにも遠くて重いなんて思わなかった。
「南、しっかりしろよ」
「大丈夫!南は強いんだよ?」
一緒に帰ってるたっちゃんが気を使ってくれる。
それがかえってツライ。
「そうか、これからどうするんだよ?」
「もちろん変わらないよ、一人でも生きていけるって」
立ち止まってたっちゃんに満面の笑みを向ける。
両手をグッと握って上下に動かす。
「そうか、わかった。専属マネージャー様が言うならできるな」
「うん、もちろん」
そんなワケなのに。
そんなこともう無理ってわかってるのに。
「あのさ、少しは甘えろよ?」
「いーや、あのね。南が甘えるのはたっちゃんと全国大会に言ったときだけなんだよ?それまでは南はたっちゃんを支えるの!」
いつもの会話が重たい。
笑ってるのに、なんか乾いてる。
「そうか、じゃあ俺は頑張んないとな?けどさ、いきなり過ぎだよな?交通事故なんて」
「うん」
それから二人に会話はなかった。
まだ何が起こったのか、頭が理解したくないみたい。
整理も付かなくて泣けなくて。
ただ、両親が交通事故で死んだ。
漠然と文字だけが頭の中を彷徨ってる。
たっちゃんも好きだけど、パパもママも大好きだった。
愛情と優しさをいっぱいくれて育ててくれた。
世界はこんなにも明るくて素敵なんだよ?って教えてくれた。
本当の両親じゃないのにいっぱい愛してくれた。
たっちゃんの夢を支えるって小さい頃に決めたワガママにも付き合ってくれた。
本当に大好きだった両親。
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