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何も考えたくない。
何も理解したくない。
でも確実に現実に目を向けなきゃいけない。
「あのさ、今の家に一人で住むってホント?」
「うん、だってたっちゃんの夢を支えるのはそれが1番なんだよ?」
休みの日、家でたっちゃんのご飯を作ってる。
いつもはママと一緒で、パパがリビングでテレビを見てる音がして。
でも今日は何も音がしない。
「もういい加減にしろよ、いつまでも現実見ないってダメだろ」
たっちゃんの声で、野菜炒めを作ってる箸が止まる。
せっかく見ないようにしていた鏡。
心の奥にそっとカーテンをしていたのに、たっちゃんは無遠慮に開けてくる。
「そんなことわかってるよ」
「いいや、南はわかってない」
「南だって子供じゃないもん、それくらいわかってる!」
声を荒れげてしまった。
こんなことしたいわけじゃないのに。
「わかってないよ。俺ってそんなに信用ない?」
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