日常

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アイツ、とは 校則が緩いうちの高校なのだが遅刻に厳しく、遅刻した生徒を捕まえては反省文という処罰を加えていく厄介な先公だ。 名前?忘れた。  逃れることが出来る生徒は数知れてるという。 ま、俺らはもちろん数知れてるうちの二人だ。 数々の逃亡記録を残している。 「フッフッ はぁー、着いたか。」 「あぁ。やっぱりいやがるな。 めんどくせぇ。」 校門から見えない位置に隠れて様子を窺う俺達。 まるで不審者だ。 いつものことだけど。 しっかし、はぁ~…。 朝っぱらからなにやってるんだか…。 まぁ今までにも数回はあるんだが、気持ちいいもんではない。 今なら犯罪者の気分がわかるのかもな…。 逃げて隠れて逃げて隠れて。 ま、悪いことをしてるのは自分なのだから仕方のないことなんだが。 って、なに考えてんだか…。 「っおい!龍!」 「ーーっ!」 自分の世界に入っていた。 おかげで、隠れ場所から見ていた先公は、いつの間にか目の前にいて、涼介は遠く離れていた。 きっと、近付いてきたのに気付き、逃げたのだろう。 俺にも声をかけたはずだが、俺は自分の世界に入っていて気付かなかった。 くそ、不覚。   「お前は…斎賀か。 いつもは逃げられてばっかりだったが今回は油断したな。諦めろ。」 くそっ!くそっ! もうアイツは俺の目と鼻の先にいて、その巨体で俺を捕まえようと、手を伸ばしていた。 「っふ、甘かったな。」 「なっ!」 ふふふふふ、甘いな。 実に甘い。 俺を誰だと思っている。 まぁ、ただの俺ですけど。 伊達に数少ない逃走者やってないわ。 一応中学時代はバスケのガードだったしな。 ま、説明しておくと、 両側から先公の魔の手が差し掛かっていたが、体制を低くし、懐に入り脇腹をくぐり抜け、抜き去ったわけだ。 なんてことはないな。 バスケ関係ないけど。 俺の身長と先公の身長的に、ね。
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