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「………んっ……」
額に触れた冷たい感触に、俺はふと目を覚ました。
「………つ……ばき……?」
熱で頭がおかしくなったのだろうか?
目の前に、椿が見える………
「あっ、ゴメン。起こした?」
「え…………」
「喉乾いてない?熱は?ご飯は?薬は?」
「なん………で…………」
「歩夢先輩に聞いたんだよ。永久が風邪ひいて寝込んでるって。」
「あー………」
椿には言わないでほしいって言ったのに………
「って言うかさぁ、何で言ってくれなかった訳?俺、そんなに頼りない?」
椿が、今にも泣きそうな顔でそう言った。
「そう言う訳じゃ……………」
「だったら何で?」
「………うつるし……………」
「そんなのどーでも良いだろ!!」
「……………良くない……」
俺にとっては、自分の事より大事な事だ。
俺のせいで、椿が風邪ひくとか、有り得ないだろ。
「…………なぁ、永久?」
「ん?」
椿は、いつものふざけた感じの、全くない、真面目な顔で俺を見ている。
「永久が、俺の事を考えてくれてるように、俺も、永久の事、考えてるんだよ。」
「…………」
「いつも一緒に居たい。でも、そう言う訳にもいかないから、逢えない時はいつも永久の事を想ってる。『今、何してるかな?』とか『元気かな?』とか。俺の真ん中は、いつでも永久なんだ。」
そして椿は、ふっと息を吐いて俺の手をキュッと握った。
「…………」
「だからさ………もっと、俺を、頼ってよ。永久の弱い所、全部、俺に見せて。」
俺の顔を覗き込んで、そう言ったんだ。
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